一途な執事と甘いティータイム




「菓乃ちゃん、俺教科書ないから見せてー?」



「いや、あの……」



「大夢くん!私が見せてあげるよ!」



私はただのクラスメイト。



私が本当は社長令嬢だとバレないようにせっかく身を隠しているのに、大河と馴れ馴れしくしていると、この努力が無駄になりかねない。



だからやめてもらおうと伝えようとした矢先に、近くの席の女の子が大河に声をかけていた。



我先にと大河を狙う女の子たちの視線を隣にいてもビシバシと感じる。



これは大河に関わらなくてもよくなる絶好のチャンス!



「そう言ってくれて嬉しいけど菓乃ちゃんに見せてもらうから大丈夫だよ、ありがとう」



大河はせっかく声をかけてくれた女の子に笑顔で断りを入れた。



その女の子からは睨みつけられる始末。



せっかく解放されると思ったのに……



私の期待は儚く散った。