一途な執事と甘いティータイム




「お嬢様、冷めないうちに早く参りましょう」



「だからー」



お嬢様呼びはやめてとあれほど……



注意するのも面倒くさくなって、諦めた私はその足で食事をする部屋へと向かった。



小さい頃からこれが当たり前で、習慣になっているわけだけど、なんでご飯を食べるためにこんなに歩いていかないといけないんだろうか。



もっと、食卓テーブルが近くにあって、用意されたご飯の匂いが漂ってきて、美味しそうだなぁって匂いにつられて席につく……なんていうのが私の理想なのに。



やっぱり私に"お嬢様"は向いていない。



うちでは、朝から豪華な品々が並ぶ。



お父さん好みのシェフを雇っているらしく、毎回ご飯がお店のように本格的。



家庭料理と言われるような肉じゃがでも、料亭で出てくるような立派さ。



味は間違いなくて美味しいんだけれど、なんだか落ち着かない。



ちなみに今日の朝食はエッグベネディクト。



うん、やっぱり……



「美味しいっ!」



味は頬が落ちそうなくらい美味しくて、文句は言えない。