「ちょっと前髪酷いことになってるよ?菓乃が遅刻ギリギリなんて珍しいね」
「あはは、夏休みのせいで今日の朝寝坊しちゃって……」
「休み明けって起きられないよね、わかるわかる」
美菜子に共感をもらえたところでチャイムが鳴り、席についた。
それからすぐに教室のドアが開き、久しぶりに担任の先生の姿を見た。
教室に入る直前に誰かに声をかける素振りを見せる。
私の席からはちょうど見えなかったけれど、前の席のクラスメイトが「もしかして転校生!?」と口に出した途端、教室内が騒がしくなった。
夏休み明けの転校生は珍しくはない。
このタイミングで親の転勤がある人だっている。
それにしても騒がしい……
その声に耳を傾ければ、何やら転校生はイケメンの男の子らしい。
私は全くと言っていいほど興味はないけれど、イケメンとなれば女の子たちは気になるだろう。
「はーい、静かに。察しの通り転校生が来ているが、そんな騒いだら教室に入ってこられないだろう」
確かに、こんなに騒がれると教室に入りにくくなる気持ちもよくわかる。
でも本当にイケメンなら、騒がれるのも慣れっこなのかな?
偏見かもしれないけど。



