「もうすぐ来るって」



「うん、わかった」



今日の段取りはこうだ。



ずっと家で勉強をしているのは、環境が変わらず集中力も続かない。



たまには場所を変えて、勉強をするのにはいい環境の図書館で行うのはどうかと有嶋がお父さんに交渉してくれた。



その結果、有嶋が付き添うという形でなら許可がおり、こうして私の美菜子との海水浴計画が実現したのだ。



だから今回ばかりは、有嶋に頭が上がらない。



予定の時間よりも遅くなってしまったことも、ここまでしてくれた有嶋に申し訳ないと思う。



「車が見えました。本日のティータイムはここまでです」



どこかで待機していたのか、迎えの車は連絡の後すぐにやってきた。


それを合図に自由時間という名のティータイムが終わる。



ぴったりと横に車が着いて、私の目の前で車のドアが開かれる。



「どうぞ、お乗り下さいお嬢様」



私服姿の有嶋にそう言われるのは、何だか違和感で、複雑な気持ちになった。