―原田side―
原田「…寝たか。」
落ち着かない様子の桜宮の背中をずっと擦り続けてやれば、座ったまま寝息を立て始める。
俺の胸に頭を当て、力を抜いて眠る桜宮。
何だかそんな桜宮が小さく見えて…こいつは戦場には何があっても行かせられねぇな、と思った。
原田「…あの刀…持ってたよな。」
俺が桜宮の唸り声が聞こえてこの部屋に来た時。
桜宮は自分の刀を抜き、持っていた。
なのに手を離して少ししてから…目を離していた隙に収まっていた。
あれは一体何なんだ…?
原田「お前は一体何者なんだ…?桜宮。」
話し合いの時の殺気と言い、あの刀と言い…自ら命を絶った事と言い…こいつには謎が多すぎる。
どうやら間者ではないみたいだが…。
原田「…まあ、とりあえずは…心を開いてもらわないとな。」
そう言いながら軽く抱き上げ、敷いた布団に寝かせる。
寝かせておくためにも部屋から出ようと、桜宮から離れて立ち上がろうとする。
原田「…?」
…動けないな、と思って桜宮の方を見ると…桜宮は、俺の袴の裾を小さく握っていて。
原田「…おいおい。」
これじゃあ出られないだろ…。
そう思いながら軽く離れようとすると、きゅっと強く握ってくる。
『………いで…』
原田「…どうした?」
近くにしゃがみ込み、言っていることを聞き取ろうとする。
『…おいていかないで……』
原田「………」
…何があったかなんて知らねぇよ。
でも…何もないのに、ただ自分の命を自ら絶つとは思えねぇ。
きっとお前にも…何かあったんだよな。
原田「置いて行かねぇよ。」
そう言いながら近付くと、桜宮は何かを探しているように手を動かす。
近くに手を置くと…見つけた、というように握ってくる。
原田「手ぇ小せえな…本当に男か…?」
…それでも何だか嫌な感じはしなくて。
暫くは良いか…と、優しく手を握り返した。


