「じゃあなっちゃんは、どんな告白がお望み?」
「……教えたらその通りにする気でしょ」
「そりゃあもちろん。なっちゃんの希望を忠実に再現しちゃうよ」
じゃあ教えない、と夏歩は魚の身を一口分だけほぐして口に入れ、その後を追いかけるようにご飯も入れる。
どちらかと言えば、ベタベタなシチュエーションで告白されるより、自然な流れでの告白の方が夏歩の好みだ。
その点で言ったら、先ほどの津田もあながち間違えているとは言えない。明らかにタイミングはおかしかったけれど。
タイミングばかりでなく言い方も、そちらはおかしいと言うよりなんとも軽い。今日の夕飯は何が食べたい?くらいの軽さだ。
「これもダメか……。なんか今日はいけそうな気がしたんだけどなー」
「何でそんなのでいけそうな気がするのよ。おかしいでしょ」
「あっ、魚の焼け具合どう?」
「……まあ、いいんじゃない」
切り替えが早いというか何というか、津田は満足そうに頷いてほぐしておいた身をおかずに白いご飯を食べる。反対に夏歩は一口分ずつほぐしながら食べ進めた。