「またそんな雑に……」

「乾けば別にいいでしょ」

「よくないから言ってるんだよ」


ため息交じりの津田の言葉に、夏歩は適当にドライヤーを当てたせいでとんでもなく乱れて爆発したようになってしまった髪を申し訳程度に手櫛で整える。

それからドライヤーを手早く片してテーブルに向かうと、ベッドとの間の定位置に腰を落ち着けた。

既に習慣となったいただきますをしてからフォークを手に取ると、早速ロールキャベツに突き立てる。


「……随分とやんちゃだね、なっちゃん」


言われて、夏歩も思った。

勢いで突き刺してしまったけれど、このまま口に入れるのは無理なので、一旦フォークを抜き、今度はぐりぐりと切り分けにかかる。

ナイフがあればもっと楽に切り分けられるのだが、生憎と夏歩の家にそんな気の利いたものはない。

夏歩はようやく切り分けたロールキャベツに、シチューをたっぷりと絡めて口に運ぶ。