「結んだ。暑いでしょ」



「うん。

……なんか、そういうのもいいって思った」



「、」



「真に受けんな馬鹿」



いや、別に真に受けてないし。

……ただ、ハセもそういうこと言うんだなって、ちょっと思っただけだ。いままでは「好き」としか言われなかったから、当たり前のように褒められたら、ドキマギする。



「……私服、意外とおしゃれでむかつく」



ぽつりと、目をそらして言う。

ハセとは学校の往復で一緒にいることが多いから、私服姿はなんだか新鮮だった。たまに休日にばったり会うけど。




「……ハセ?」



「お前、マジでずるい」



「はあ……?」



ずるいって何が。

別にそんな言い方されるようなことしてないでしょ。



「……、これでも浮かれてんだよ。

いままで散々嫌がってたお前が真剣に返事考えてくれてんのも、こうやって休みに一緒に過ごせんのも」



ぜんぶうれしい、と。

言葉とは裏腹に、バツの悪そうな顔をするハセ。



「引いた?

平然装って、こんなことばっか考えてんの」