「それで、話って?」
デザートを食べ終えたあと、蒔が退屈しないか心配だったけれど、彼女はとてもお利口にしてくれていて。
ふと隣のテーブルを見たら、信じられないくらいの注文量だったけど、そこは育ち盛りの男子高校生。あっという間にすべて平らげていた。
お会計を済ませ、一緒に店を出る。
邪魔にならない場所で少しだけ妹のことをお願いして、あすみくんとその場を離れた。
「昨日のあいつら、骨折やら打撲やらそれなりに怪我してたが、まあ当然そのうち治る怪我だ。
手助けしたのがお前だってことは話してねえけど、あいつらもかなり感謝してたからな。ありがとう」
「……どういたしまして。
恭の名前と、あなたが来てくれたおかげだけど」
「……そのとき逃げたヤツらは、今日特定されたって連絡があった。
まあ俺らの組織的な問題もあって、ただの高校生同士の喧嘩で片付けられるだろうけどな」
昨日あの場を逃げた彼らは、すぐには捕まらなかったらしい。
蒔の帰宅時間をすぎていたから急いで帰ろうとしていたわたしとハセも目撃者として名前と連絡先、目撃情報だけ伝えて帰宅したけど、特定されたみたいだ。
「……彼等にお大事にって伝えておいて」
「ああ。
ただ……ひとつだけまずいことがあって、な」
「……? まずいこと?」
片付いたならよかったんじゃないの?と。
首をかしげたら、彼はふっとため息をつく。
「昨日の奴らも含めて、卑劣なヤツっていうのは弱点を握ろうとする。
特に俺らみたいに、こちら側からは手を出さない組織っていうのは簡単に言えば強ぇからな。その分弱点は少ない」
「……そうね」
「俺らの場合、現時点で幹部の誰も親しくしてる女はいねえんだよ。
……恭がお前と付き合ってた時、たしかにお前の存在は俺らの界隈でも有名だった。事実、昨日の奴らも髪色の話だけですぐにピンときたらしいからな」



