くいくいと服を引けば、恭はまた面倒そうにわたしを見る。

……うん、たぶん完全に呆れられてる。



「ねえ、約束したでしょ?

ちゃんとわたしと付き合ってよ、恭」



「……お前この先どうすんだよ。

せっかく成績良いのに、俺と付き合ってんの知られたらあきらかに評価下がんのわかってんだろ」



恭の髪が、ピンクになったわたしの髪に触れる。

その言葉の優しさだけで、わたしは十分なのに。



「気にしてないよ。

わたしは、ただ恭といられるのが嬉しいの」



「……ほんとに馬鹿だなお前」



何度馬鹿と言われても構わない。

何を言われたってこの気持ちは絶対変わらない。




「だいすき、恭」



「……ったく。

自分で可能性無駄にしてんじゃねーよ」



呆れながら、恭がわたしを抱きしめ返す。

見つめ合って、キスして、それだけでしあわせで。



「……ふふっ。だいすき」



「知ってる」



「恭は?」



めんどくせー、って顔をして。

「好きだよ」って呆れながら言う恭のことが、すごくすごく好きだ。