「鞠。……おい、鞠」



「ん……?」



「"ん?"じゃねーよなんで寝てんだよお気楽ヤロウ。

つーかそもそもなんでここにいんだ。あとその明らかに頭の悪そうな髪色、」



「えへへ、恭だ……」



「………」



へらり。笑って、恭に抱きつく。

ふわりとダークフローラルな香水が控えめに香って、いい匂い、と恭の胸元に顔をうずめた。



そのままじっとしてたら恭の手がわたしの頭を撫でた。

そこでようやく、ハッと自分のことを思い出して。




「ねえ見て恭、ちゃんと校則違反したよ?」



言えば、ピンッと軽く額を突かれる。



「自慢げに言ってんじゃねーよ馬鹿。

なんで俺がわざわざあんなこと言ったと思ってんだ……」



「付き合う気がないからでしょ?」



くるくる。ピンクに染まった髪を指に巻き付ける。

というかさっき「頭の悪そうな色」って言ったでしょ。全国のピンクヘアーな人たちに謝れ。



「べつに付き合う気がねーとかじゃ……

まあ確かに、絶対むりだと思って言ったけど……」



「……?

なに、もごもご言わずにはっきり言ってよ」