「でもあすみも、
すぐに鞠のところに行けっつってたしな」
「……まあいいよ、今回は。
遅れなかったおかげで無事に彼女を救えたなら、それはもちろん優先されることだと思うし」
「なずちゃん、何そんな不機嫌な顔してんだよ~」
俺らで処理しろと言いながら、納得はしている口振りで。
どうにも埒が明かない様子のなずなに、どストレートに暖が切り出す。
「別に。敵の切り札があまりにもつまらないからって退屈してるわけじゃないよ。
俺もできるだけ面倒ごとは早く片付く方が良いし」
「……要するに退屈なんだな」
なずなは切れ者だが、基本指示塔のため喧嘩には参加しない。
相手との頭脳戦が楽しいのに、それさえもできないくらい「向こうの頭が弱すぎる」と嘆いてる。
「そりゃまあ、俺らもそう思うけどよ~。
……本当にこのまま何もねえとか、ある?」
「前回は恭のバイクに細工してきたもんね」
今回、このままただの喧嘩で終わるのだとしたら、あまりにも相手が頭を使っていなさすぎる。
それが気掛かりだが、かといって思い当たる節もなく。
「……全員招集だ」
ずっと下で藍華のメンバーと話していたあすみが、幹部室に戻ってきてそう告げた。
4人とも素直に腰を上げ、部屋を出る。
「言うことはいつもと変わらない。
……仲間の安全が最優先だ。わかってるな?」
──決戦の時間まで、残り2時間。



