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「『……誰の女に手ぇ出してんだよ』、ねえ」
「恭ちゃんかっこよかったねー」
鞠を家に送り届け、藍華の倉庫に戻ってくると。
特攻服を身につけ終えたチカと暖が、暇を持て余すかのように口を開いた。
「なに、恭そんなこと言ったの?」
スマホでさっきからずっと電話しながらタブレットを触っていたなずなが、電話を終えて会話に混ざってくる。
余計なことを、とふたりを睨むが、調子に乗ったチカと暖がここで大人しくなる性格なわけもなくて。
「いつもより沈めるのも早かったよねー。
ちゃーんと、鞠ちゃんに見せないようにって目も瞑らせてたから僕びっくりしたもん」
チカの言葉を聞いて、「へえ」と含み笑いを浮かべるなずな。
……嫌な予感しかしねー顔してんな。
「どうりで、あんな人目のあるところで堂々とやらかしてくれたくせに情報回るの遅かったわけだ。
……つーかもうちょっと人目のないとこに移動とかさせられなかったのかよ」
「っ、一応、あとで残骸は路地裏にぽいぽいってしておいたよ!
まあでも完全に鞠ちゃんが先に攫われそうだったのを周りの人も見てるから、正当防衛っていうかー」
「戦線で冷静な対応ができないの、
3人とも特攻隊長として問題だと思うけど」
「うぐ」
確かに人目があったところで、手を出してしまったことは悪いと思ってる。
なずなが言うように、今回は割と一瞬で片付けたから何とかなったものの、本来ならもっと大事になっていたって可笑しくない。
「特に、3人とも。
髪色そんな派手なくせして考えもナシに制服で行ったんだから、あとでなんかトラブったらお前らで処理しろよ」
それ俺の仕事じゃないから、と続けざまに文句を吐き出して不服そうななずな。
口の悪さも時々出てるあたり、虫の居所が悪そうだ。



