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とある平日の夜。
蒔を部屋まで寝かせに行き、その後自室で課題をこなしていた時のこと。不意にスマホが鳴いて、相手を確認したわたしはそれを耳に当てた。
「もしもし? 恭?」
『急に悪い。寝てたりしてなかったか?』
「うん、課題やってたところ。
どうしたの?急に電話なんてめずらしい」
普段はメッセージでやり取りしているから、電話をかけてくる前に事前に文字で教えてくれたりするのに。
どうしたんだろうと首を傾げていれば、鞠、と優しく名前を呼ばれる。
『すげえ会いてーな、と思って』
その言葉に、思わず照れた。
復縁してからというもの、恭は今まで以上にわたしに優しくしてくれるし、ストレートな言葉で気持ちを伝えてくれる。
「わたしも会いたい。
ほぼ毎週末会ってるのに、寂しくなっちゃうの」
『昔は毎日一緒だったもんな』
入学直前で、藤二に入学先が変わったけど。
元々受かっていた高校も、恭とは別々だった。……それでも、同じ学校に通えていたらよかったのに、とどうしようもないことを思う。
「寂しくて掛けてきてくれたの?」
『まーそれもある。
……あと、一応報告しとこうと思って』
ふ、と恭が息を吐いたのがわかる。
まだ何も聞いていないのに、思わずわたしも息を詰めた。
『俺が、前に怪我したときに相手したヤツら。
……また最近コソコソ動き出してて面倒だから、早いうちに潰すことになった』