「ありがとう。離れてても愛してるわ」



「……知ってる」



「ふふ、そうね。

鞠ちゃん、次はちゃんとウチに招待するわ」



その時はよろしくね、と。

笑った母さんは、最後に親同士で挨拶を交わして、忙しなく出ていった。……本当に時間がない中で、無理やり会いに来てくれたんだろう。



「恭の話を聞いてて、もっと仲悪いのかと思ってたけど。

ちゃんとご両親と仲良しじゃない」



「良いってほどでもねーだろ」



朝食に使った食器を、軽く洗った鞠から受け取り、食洗機へと入れていく。

鞠の父親も仕事があるようで食事のあとに出掛けてしまったから、蒔はリビングで一人静かに宿題中だ。




「仲良しって言っていいくらいよ。

……あ、これで最後ね。ありがとう、恭」



「ん。……まあでも鞠や蒔ほどじゃねーよ」



「そう? わたしもまだまだ親子になる途中だけど」



最後の食器を収めて扉を閉め、スイッチを入れる。

手を洗ってタオルで拭い、さて今日は、とこのあとの予定を考えていたところで、鞠が寄り添うように抱きついてきた。



「……ずっといっしょにいてね」



リビングにいる蒔からは死角になる、この位置。

見えないことを確認してから、音を立てずに鞠のくちびるを奪った。



「ンなこと言われなくても、ずっと一緒だろ」



【 恭くんとママ 】



恭本人に自覚はないが、恭と恭ママは仲良しである。ちなみに鞠ちゃんは時折蒔にもやきもちを妬いてしまう女の子なので、実は恭ママにもやきもち妬いてたりする。恭はあまり気づかない鈍感です。