「……なんて?」



「次帰国した時はお前のこと紹介しろってさ」



えへへ、と柔らかい笑みを見せる鞠。

……さてはちょっと眠たいだろ。心なしか目もとろんとしてるし、そのせいか俺に擦り寄ってくるし。



「部屋行こ、恭……」



「蒔帰ってくんじゃねーの?」



「わたしがここにいなかったら勝手に部屋いくから大丈夫よ。

お父さんもまだ書斎で仕事してるだろうし、」



ふぁ、と鞠が欠伸を漏らす。

復縁してしばらく経ったら、こういう緩い仕草も普通に見せてくれるようになった。復縁する前の、お互いピリピリしてたのは何だったんだろうな。




「風呂入らねーの?」



「明日の朝でいい……」



あー……これはもう眠気に勝てねーやつだ。

ぱちぱち瞬きを繰り返して、「いこうよ」と俺を見つめる鞠。愛らしくてそのまま見てたい気持ちは山々だが、鞠が眠りに落ちる前に部屋へと移動する。



ワンフロアを丸々1部屋に使っている、馬鹿でかい高層マンション。

しかもメゾネットタイプで、1階はリビングやら社長の書斎やら。2階がプライベートを過ごす空間らしく、いちばん奥が鞠の部屋。



「……恭」



部屋につくなり、ベッドに潜り込む鞠。

名前を呼ばれて隣に入ると、ギュッと抱きつかれる。



抱きしめ返すだけで、徐々に朧になる返事。

……さすがにこの状況じゃ、手も出せねーな。