◆ Side Kyo
「ねえ、恭。……これだぁれ?」
付き合って数ヶ月。
鞠が週末うちに泊まりに来ることも恒例になったとある日。鞠を先に風呂に入らせ、入れ替わりでシャワーを浴びて帰ってきたら、目の前にスマホを突きつけられる。
それは俺のスマホで。
『恭くん今何してますか?』というメッセージの通知が表示されていた。
「あー……」
アイコンもプリクラだし、名前も「リカ」。
どうしたって言い逃れできない女からのメッセージに、小さく息を吐く。
「クラスのヤツ。……最近なんか連絡来るんだよ」
なんか、というか。
好かれてんだろうな、とは、薄々気づいてるけど。
「……ふぅん」
「鞠」
「金曜日の夜に、ただのクラスメイトにこんなメッセージ送ってくる?
……絶対恭のこと好いてる子じゃない」
ムッとして、頬をふくらませている鞠。
怒っているところ申し訳ないが、かわいい顔してんだよな。……すげー不服そうだけど。
「やきもち?」
「……悪い?」
隣に座って、鞠の髪を梳くように撫でる。
かなり色が落ちて白っぽい桜色をした髪。一生懸命乾かしたけれど諦めたのか、少しだけ湿っぽい。