誰もが思わず見てしまうほどには派手などピンク。

驚く俺らに「染めちゃった」なんて笑ってる彼女。



「また怒られる羽目になるぞ」



「なによ。

さっきは可愛いって言ってくれたじゃない」



「……まあ似合ってるけどな」



……恭って尻に敷かれるんだろうな。

もう今後もずっとそうやって言い合ってるふたりの姿が容易に想像できる。



「婚約おめでとう」



鞠ちゃんの左手薬指。

さっきネットニュースの写真で見たのと同じ指輪が、光っているのが見える。




「ふふっ、ありがとう」



「いいのかよ~そんなすぐ婚約しちゃって。

まだ付き合って1ヶ月くらいだろ?」



「うん。もう離れないから大丈夫」



鞠ちゃんは今は父親と妹と3人で暮らしているらしい。

夏休み中だけ恭と一緒に過ごしていた彼女。詳しい事情までは聞かなかったけど、もうすっかり元の生活を取り戻しているらしい。



……たまに夜中に泣き出したりするようだけど。

その辺は、恭が上手くやっているんだろう。



「……そういえば。

紘夢からも、おめでとうってメッセージが来てたわ」



父親が逮捕されて。ニュースになった後、会社は当然のように潰れてしまい。

俺らには詳しいことなんてわからないけど、初瀬と母親のふたりは、ひっそりとこの街を去っていったと、鞠ちゃんから聞いた。