◆ Side Nazuna



「結局さー。

恭ちゃん以外の付け入る隙なんてなかったよねー」



──藍華、幹部室。

速報でスマホに流れてきた『2大グループ業務提携か』というニュース。未成年なことが原因なのか顔は出ていないものの、写真にうつるふたりが恭と鞠ちゃんなことはわかる。



速報であるように、恭の姿はここには無い。

「明日用事あるから」と昨日言っていたけど、いつものように鞠ちゃんとデートなのかと思ったら、婚約イベントらしい。



「とんだお騒がせカップルだよね」



「恭の方がかなり一方的かと思ってたけどよ~。

……なんだかんだ鞠ちゃん側もゾッコンだよねえ」



そういや、暖が「最近鞠ちゃん可愛くなった」と先日話していたのを思い出した。

見た目から可愛くなっているのもそうだけど、今まで距離を置こうとしていたのをやめたのか、随分性格も素直だし。



たぶんだけど、暖の好きなタイプだと思う。

……拗れそうだから、黙って見てるけど。




「っていうかいいの? あいつ金髪じゃん」



こんな派手な髪で、御曹司の婚約を発表していいものなのかと。

なぜか俺が心配していたら、幹部室の扉が開く。



「クソだりー。

誰が楽しくてニコニコしてなきゃなんねーんだよ」



「まあまあ。今後のためでしょう?」



金髪で、スーツなんていう珍しい格好で。

疲れ切ったようにため息をついてる恭と。



「っ、えー!? 鞠ちゃん……!!髪!?」



なぜか恭よりも派手なピンクの髪の、鞠ちゃん。