「……家までお送りします。
社長、無事にお嬢様を確保しました」
『───』
無線がどうやら繋がっているらしい。
薄らと聞こえた声はお父さんのものだと思うけれど、さすがにはっきりとはわからなかった。
車の後部座席におろされ、ブランケットを渡される。
彼にスーツのジャケットを返すと、ブランケットにくるまった。
「……恭、」
まだ手が、震えてる。
触れられた感触に、吐き気がする。
何をされたのか、恐怖であまり分からなかった。
唯一の救いは、黒田さんが助けに来てくれたこと。
もし、あのまま。
誰も、助けに来てくれなかったとしたら……?
「お嬢様。時間がありますので。
……少し落ち着いて休まれててください」
「……うん」
ブランケットの中で、ギュッと蹲る。
気がつけば、またぽろぽろ涙がこぼれていた。
「っふ…、恭、」
会いたい。
会って、大丈夫だよって、抱きしめてほしい。
そんなことを考えていたら。
いつの間にか、深い眠りの中へ吸い込まれていた。



