触れられたくない。
いくらわたしが誰かに触れられるのがはじめてじゃなかったとしても。……同意があるかないかで、何もかも違う。
「どうせ、息子ともしたんだろう?」
何を言われているのか、もう分からなかった。
身をよじろうとしてもビクともしない。その間にも片方の手はわたしの肌を撫でるみたいに触れてくる。
息が上がって、苦しくなる。
ぽろぽろと落ちていく涙。背中に手が回って、胸元の締め付けがなくなる。
視界が滲んで、何も見えない。
「恭、っ……」
たすけて。たすけにきて。
届くわけもないのにその名前を呼び続けた。
ねえ、恭。
こんなことなら、もっとはやく、好きって言えばよかった。好きって言って、触れてもらえばよかった。
そしたら。……そしたら。そしたら?
「それ以上触んじゃねえぞ」
突然、ガン!と強い音がして。
扉が吹っ飛んだんじゃないかと思った。それくらい凄まじい音がして、カツカツ足音がする。
「きみは誰なんだ、」
「触んじゃねえって言っただろうが」
鈍い音がしたかと思うと、急に身体が軽くなった。
手で無理やり涙を拭うと、床に倒れ込んでいる初瀬さん。そして、恐らく何かしたんであろう、黒田さん。



