【完】STRAY CAT




……紘夢とも、すぐにそうなっちゃったし。

人間誰しも、どんな関係を持っていたとしても、日常生活で顔に出ることなんてない。



「美味しー」



「よかったな」



ひとまずプールから上がって、着替えて、軽く髪を乾かしたあと。

さりげなく手を繋がれ、恭と近くのパフェショップに来た。期間限定に釣られがちなわたしは、迷うことなく"すももパフェ"を注文。



恭は特に食べる気もないようで、シロップも入っていない無糖のアイスティーに口をつけてる。

……見た目はコーヒーとか好きそうなのに。



「それで、これ食べたら一緒に帰る?」



恭のくちびるに、アイスの部分をすくったスプーンを押し付ける。

別に彼は甘いものが好きなわけじゃないけど、めちゃくちゃ苦手なわけでもないから、そのまま素直に口を開けた。




「……お前は俺の事なんだと思ってんだよ」



「だって暖くんが男はそんなもんだって」



「二度と暖と話すな」



余計なことを、と。

ため息をついた恭が、「今日は行かねーよ」と頬杖をつく。その姿さえ完璧に美しくて、見惚れてしまいそうになる。



「……そりゃ、まあ、気持ちはあるけど。

さすがに初日に家ついてくほど本能的に生きてねーよ」



「まあ、昔からずっとそうよね」



当時も、恭はずっとわたしに優しかった。

わたしが嫌がることは絶対にしなくて、はじめてすべてを恭にさらけ出した時も、彼は何度も平気か尋ねてくれた。