恭も紘夢もそうだけど、基本的にはストレートに思ってることを伝えてくれる。
だからこそ、こんなにひねくれているわたしといても、変わらず優しくしてくれるのかもしれない。
「……じゃあ、一緒にいて」
恥ずかしくて顔を見れないから、そそくさとプールから上がる。
浮き輪を持って一度返却に行くわたしの後ろから、着いてきてくれる恭。
返却をしている間もただ見守ってくれていたのに。
終えてプールの方へ歩く途中で、手を引かれた。
「……なんか甘いもんでも食いに行かね?」
「甘いもの好きだったっけ?」
引き止められるがままに足を止めて。
時計を見ると、時刻は16時を回ったところ。恭と待ち合わせしてから、まだ3時間ほどしか経ってない。
「お前甘いもん好きだろ」
「うん」
「なんか食いに行こーぜ」
なぜかプールから上がることを提案してくる恭。
別に構わないけど、すこし髪も乾かしたいから時間もかかる。それでもどうやら恭は上がりたいようで。
「……一緒に帰りたくなった?」
「ちっげーよ。
……付き合ったら、セーブできてたもんもセーブできなくなるだろうが」
手を出したい、という意味的には同じじゃない?
というか、貞操観念を捨てたわけじゃないけれど、一度付き合ってすべて知ってる恭にすぐ手を出されたところで、そんなものだと思ってしまう。



