【完】STRAY CAT




「……なればいいんじゃない?」



「………」



「恋人。……いまなら空いてるけど」



さすがに遊びすぎたかもしれない。

すこし反省して言うわたしに、恭はなぜか不思議そうな顔をして。それから「別れたのか?」と聞いてくる。



「……振られた」



「お前が? 振ったんじゃなくて?」



プールサイドで、なんの色気もない話。

「うん」と首を縦に振ると、恭はちらちらとわたしを見てくる。それから。




「……未練ねーの?」



「さすがにあるわよ。……一緒にいたかったし」



「、」



困った顔してる。

本当は未練があるのも、一緒にいたいのも恭の話なんだけど。こういう時だけ鈍感な恭は、それにも気づかないで考え込んでる。



「俺、あいつの代わりにはなりたくねーよ」



「うん」



「……でもお前と一緒にいたいんだけど」