「何だかんだこれがいちばん楽しい」
「お前そういや運動とか嫌いだもんな」
しばらくパシャパシャ水を掛け合ったあと。
浮き輪やビーチボールを貸してもらえることを思い出して、ひとつ浮き輪を借りてきた。それを身体に通してぷかぷかするわたしと、すぐそばに立つ恭。
「きゃあっ」
不意に恭が浮き輪を持ち上げるようにして傾かせてくるから、慌てて浮き輪にしがみつく。
脚をバタバタさせると、ある程度傾けてわたしが慌てるのを見たあとで、元に戻してふっと笑みを浮かべる恭。
「っ、いじわる!」
忘れてたけど、そういえば恭は意地悪だ。
基本的には優しいしわたしに甘いけれど、根っからのいたずら好きで。
「ひっくり返るかと思ったんだけどな」
「やーめーてー!」
浮き輪に体重をかけてきたり、また持ち上げてきたり。
落とそうとしてくる恭と、特に意味は無いけれどなんとなく絶対に落ちたくないわたし。
ふたりで攻防を繰り広げていたら、何故か突然、浮き輪ではなくわたし本人を持ち上げてくる恭。
水圧のせいで軽く持ち上がったわたしは、そのまま恭の腕によって抱き上げられて。
「っ、ちょ、っ恥ずかしい、」
浮き輪が引っ掛かってるのも恥ずかしい。
脚をバタバタさせても、恭の腕はびくともせずにがっしりわたしのことを掴んでいて。
くびれのところを触れられているから、肌に直に触れられているのを意識すると、どんどん恥ずかしくなってくる。
顔が赤くなるのを、自分じゃ制御できない。



