付き合っていた時に、何度も抱きしめてくれた腕。
意識するだけで、恥ずかしくて沸騰しそうになる。
「お前、今日はひとりで行動すんなよ」
「……どうして?」
「ナンパされそーだから」
そう言うくせに、目を合わせてくれない彼。
思わず気になって目を合わせても、すぐに逸らされてしまう。……なんで?
「なんで目逸らすの」
ぐいっと近づいて言えば、恭がさらに視線を逸らす。
それからすぐにやんわり肩を押して離されるから、なんだか哀しくて言葉を失ってしまった。
「……、あんま近づかれると、当たる」
「え?」
「お前いま自分がどんな格好か分かってんのかよ」
言われて自分を見下ろすと、この間と同じ水着を着たわたし。
そして。……水着の胸元は、しっかりビキニ。
「くっつかれると胸当たるし……
つーか、なんで今日そんなかわいくしてきてんだよ、」
目合わせられねーんだよ、と。
ちょっと怒ったように言われるから、逆に頬が緩んでしまった。わざとくっついてみたら、「おま、」と恭が焦った声を出すから、余計に笑みがこぼれる。
「くっつかれたら困るの?」



