それに「ありがとう」とだけ返して、水着に着替える。
ちなみに、わたしが恭とのデート先をここに選んだのは、あすみくんからの"あの"一言があったからだ。
……恭、水着姿、気に入ってくれたみたいだし。
ぱぱっと着替えを済ませてもう一度だけスマホを確認したら、あすみくんから『恭を誘惑してこいよ~』との返事。
by暖と付け足しされているから、どうやらみんなにわたしと恭が一緒にいることがバレているらしい。
……誘惑って。まさか行き先がプールなことも知ってるんだろうか。
「お待たせ。……ごめんね遅くなって」
「そんな待ってねーよ」
ひとまず返信はせずに更衣室から出ると、すぐにわかるところで恭が待ってくれていた。
今日は置いておけないから、貴重品もロッカーの中。
必要な時に取りに行けばいいし、強いて連絡も来ないだろうし。
コインロッカーの鍵を手首に通して、恭を見上げる。
「みんなにわたしと出掛けること言ったの?」
「いや? なんか言ってきたらめんどくせーし」
やっぱり、なぜかバレてるらしい。
しかも恭はそれに気づいてないようだけど、まあそれは置いといて。
「……ちゃんと治ったのね」
前回みんなで来た時には治っていなかった傷痕。
蒔に見せないよう配慮してくれたようで、彼は上からシャツを着ていたけど。
直に見てもわからないくらい、傷は治っていた。
そのせいで恭は上着を着ていないし、変にドキマギして目を合わせられない。
……元から鍛えてるのは知ってたけど、こんなに筋肉質でしっかりしてたっけ?
会わない時間に、さらにかっこよくなった?



