恭と一緒にいたい気持ちが、膨れ上がりそうになってる。

そんな中で恭と一日過ごすなんて、一体わたしはどんな顔をしたらいいんだろう。出会ってからずっと、わたしは恭の前で、どんな顔をしてたんだろう。



「恭のことが絡むと、途端に弱くなるな」



ふ、と小さく笑ったあすみくん。

顔を上げたわたしの目元にかかった髪を、彼が指先でそっと直してくれて。



「好きにすればいい。

……最悪、恭にそれだけの責任を取らせろ」



「……あなたも、らしくない冗談言うのね」



「俺は本気で言ってるけどな」



恭がこの人と一緒にいる理由が、何となくわかる。

どんなことでも大丈夫だと思わせてくれるこの包容力と安心感。……あすみくんの彼女と面識は無いけれど、きっと彼女は、とても幸せなことだろう。




「……ああ、そういえば」



「うん?」



「恭にあとで写真でも送ってやれよ。

……お前の水着姿見れて嬉しそうだったぞ」



「な、っ……」



やっぱり平然と冗談言うじゃない……!

慌てるわたしを見て楽しそうに口角を上げた彼は、あろう事か本当に「コレな」と恭の連絡先をわたしへ送ってくる。



「……まあ、それはお前に任せるとして。

約束したなら、どうせ連絡先は必要だろ」



画面に表示された、『花蔵恭』の文字。

どうにも心臓がギュッとなってしまって、誤魔化すように指でその名前をそっと撫でた。……本当、は。