「ひろくん、おまたせぇっ」
「蒔、」
ぺたぺたと、こっちに駆け寄ってくる蒔。
駆け寄っては来てるけど、鞠に言われていたせいなのか、いつもよりもスピードは遅い。
ピンクのワンピース型の水着。
無地のピンクの上から、全体的に薄い花柄の生地が付けられたそれは子ども水着にしてはちょっと大人っぽい。その上、肩の紐も形がこだわられてる。
……鞠が選んだんだろうな。
「お待たせ。……蒔かわいいでしょ?」
後ろから歩いてきた鞠が、にこりと笑う。
「うん、かわいい」なんてあいつは返してるけど、たぶん、"あいつ"の"かわいい"は鞠にしか向いてない。
蒔の水着よりも落ち着いたピンクベージュの水着。
上が全体的にリボンのような形をしたビキニで、控えめなフリルが付けられていて。下は、布を巻いたような形のもの。……ビスチェ?とかいうやつ。
昔は髪もピンクだったし、相変わらずピンクが好きらしい。
大人っぽい見た目とは相反して、それすら愛らしいと思ったのは、かなり過去の記憶だ。
「……きょーちゃん、見つめすぎー」
そこらの女より圧倒的にスタイルがいいから、水着も本当によく似合ってる。
わかってたことだけど露出度高ぇな、なんて思ってたのがバレたみたいに、チカに耳打ちされた。
「……そんな見てねーよ」
「えー?
鞠ちゃんに気づかれるくらいガン見だったよー?」
チカはそんなことを言ってるけど、鞠は微塵もこっちを見てない。
……ずっと目を逸らされてるから、目が合うなんてありえない。



