「僕たちも着替えにいこーよーっ」
ぐいぐいと、チカに腕を引っ張られる。
チカの綺麗な水色だった髪はすっかり色が落ちて、白ともグレーともつかない、透けた薄墨の色をしていた。
一緒に行動する必要はねーけど、ある程度ついて行く必要がある。
しかし当然、更衣室は男女別々なわけで。あからさまに俺らから少し離れたところに、"あいつ"の姿。
「恭ちゃん、シャツ着るの勿体ないねー」
「……さすがに蒔に傷跡見せらんねーだろ」
「そうなんだけどー。
せっかく鍛えてるのに、すごくもったいなぁい」
さっさと着替えを終えて、だる絡みしてくるチカ。
スマホと財布だけ持ってロッカーに鍵をかけたら、チカにまた腕を引っ張られた。
……さてはこいつ、蒔と同じテンションだな。
完全に目の輝かせ方が子どもじゃねーか。
「鞠ちゃんまだかなーっ」
「時間かかるんじゃない? 女の子だし」
「妹の面倒も見なきゃなんねえしな~」
んで、なんかお前らもソワソワしてんな?
誰をどんな目で見ようがお前らの自由だけど。……鞠に関しては、俺が文句言っても良くね?
「……鞠が、蒔のためにって言うから、一応ついてくることは俺も納得したけど。
いなくても別に困んねえから、あんま入ってくんなよ」
待ってる間に更衣室から出てきた"そいつ"が、牽制してくる。
自分がその立場だったら同じことを思うのに、それにさえ苛立つのは、さすがに虫が良すぎるか?



