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「……そんなことだろうと思った」
夏休みもそこそこ過ぎた、盆休み前のある日。
チカがただプール行きてーだけだと思ってたら、昨日急に「明日10時に倉庫集合だからね?」となずなに言われた。……頼むから予定は伝えてくれ。
ま、急に言われて困る予定もねーんだけど。
この間負った怪我は、結果的に何の問題もなかった。
もう普通に動かすこともできるし、重い荷物を持つことも出来る。ただ、傷の治りがどうにも悪いせいで、まだ完全に治っていない。
別に入ったって問題ねーだろうけど、長時間水に浸かるようなことは避けようと思う。
あと、上からTシャツ着とくか。
「おねーちゃん、プール……!!」
……まだ幼い蒔もいるし、傷跡見せたくねーしな。
「いいじゃねえの。
あすみが"プールに行く"っつう情報聞き付けてきたから、ちゃーんと利用させてもらっただけだし~?」
とん、と俺の肩に腕を乗せて寄りかかる暖。
話に引き出されたあすみは、「俺が声掛けたのはチカひとりだけどな」と小さくため息をついてる。
「でもお前も、恭のこと応援してるでしょうに」
「……そうだな」
「そもそも"護衛"ナシでうろつけねえだろ~。
……んで、お前はカノジョの水着姿も見れてラッキー」
一石二鳥じゃねえの、と含み笑いする暖。
……水着姿、ねえ。
ちらりと視線を上げれば、はしゃぐ蒔の前に屈んで、目線を合わせている鞠。
人が多いし、プールも危ないから、ちゃんとお姉ちゃんたちの話聞いてね、と注意しているようだった。



