……ハセの、ご両親、に?
「あ、でも、ヤなら全然いい。
ただウチの親は鞠のことも蒔のことも一応知ってはいるし、俺と仲良いのも知ってるけど、さすがに好きとは言ってなかったからさ」
「……うん、」
「なんか、変な感じだけど。
鞠と付き合ってるって、わざわざ親に言うの恥ずいじゃん。……だから鞠が来たときに、彼女って言おうと思って」
そんな堅苦しく考えなくていいから、と。
顔色をうかがうハセに、ふっと笑みを見せてうなずく。
「わかった。
何度か鉢合わせたことはあるけど、わたしもハセのご両親には会釈する程度だったから」
付き合ってるなら、それもどうなのかなあって思うし。
この先も蒔とふたりで暮らしていく上で、マンション内に頼れる人が増えるなら、それはそれで嬉しい。
「ならよかった。
……俺の親は俺が彼女とか作らないテキトー主義だって思ってるだろうし、鞠があいつらと関わってるってこと以外の点だと、特になんか言われたりはしないと思う。むしろ喜ばれそう」
大袈裟だと思う。一応、藤二ではお利口に過ごしてるけど。それでもハセとこんなことしちゃうくらいには、真面目に生きてないし。
元々髪色がディープピンクだったことも、少なからず知られたくはない情報だ。
「っていうか、ハセ。
それならハセのことも、ちゃんと紹介させて」
「ん? ……、誰に?」
「蒔に、わたしたちが付き合ってるってこと伝えなきゃ。
あとは、そうね。言いたくなかったけど……」
知らぬことは罪だなんて、そんなこと思わないから。
背負うのは、すべて知ったわたしだけで、構わない。
「わたしたちの──父親に」