俺のせいか、ごめんな。って。

ハセが謝るから、ふるふると首を横に振った。



……ハセが謝ることじゃない。

果歩がハセを好きだと知っていたのに、そのままにしていたのはわたしなんだから。



それに、果歩はわたしのことを利用していたけど。

ハセのことを利用しているわたしが、果歩のことを怒る資格なんてどこにもない。



「……ハセって、やっぱり馬鹿」



「はあ?」



ため息とともに、思わずそう零す。

それにハセは不服そうに眉間を寄せたけれど、悪口のつもりはない。



いつもみたいに憎たらしく言い返せばいいのに。

わたしのことを本当に心配してくれているその優しさが、うれしかった。




「気にしてないし、ハセが気にすることじゃない。

それに果歩がハセ目的だけで近づいてきたわけじゃないことぐらい、わかってる」



今日はちょっとだけ、キツく言ってしまったけど。

果歩が本当は優しいことだって、ずっと一緒にいたんだから知ってるわよ。



「でも……ありがとね。心配してくれて」



「……おー」



どこか照れくさそうに返事するハセに、こっそり笑って。

夕飯の買い出しを兼ねた買い物をしてから、マンションへと帰る途中。



「ちょっ、どうし……っ」



ハセにいきなり腕をつかまれて、引っ張られた。