テストしかない日々が終わり、9月にある文化祭に向けて本格的に準備するようになった。



文化祭はクラスや部活動単位で出し物をし、一致団結して1位を目指すもの。


1、2年生は教室内を改造して出し物をし、3年生は展示をする。


運動部と生徒会は飲食店を企画し、文化部は活動場所やステージで日頃の成果を見せる。



これらのことは学校側の決まりという訳ではないけど、慣例としてずっとこの形式でやっているらしい。




私は生徒会で担当になった校内装飾の準備に勤しんでいる。


私もカレンちゃんも生徒会の仕事で手一杯で、クラス企画に全然参加できていない。


私達2人はクラス内に親しい人がいないから何も言われないで済んでいるけど、正直申し訳ない。



ユート先パイには生徒会入ってればそんなもんだって言われたけどね。




ちなみに凛ちゃんは生徒会企画もクラス企画も全力で運営している。


最近では生徒会室でクラス企画の準備をしてる時もあってすごく忙しそうだ。





「山本さーん、ここはどうすればいいのー？」


「あ、はい！えっとですね…。」


校内装飾製作委員になってくださった先パイに説明をする。



レオ先パイに言われた通りに制作委員を募集し、言われた通りに制作の段取りを決め、言われた通りのものを作る。




…私じゃなくてもできるんだって痛いほどわかる。


普段はおてんばな凛ちゃんも、高飛車な態度のカレンちゃんも、私以外の生徒会メンバーはそれぞれの武器で生徒会に貢献している。



私には高いコミュニケーション能力も、迅速に考えられる頭もない。


行動力も判断力も高くない。




"兎羽は自分のことを過小評価時過ぎだと思うけどな。"


レオ先パイの言葉が頭をよぎる。



レオ先パイは私の何を評価して、私のどこが気に入ったんだろう。



というか、俺のものになってだとか、かわいいだとか、好きだとか色々言われてるけど、返事をした方がいいのだろうか。



「わっかんないよ…。」


小さく呟いてから、次の仕事をするべく歩き始めた。