「レオ先パイは…、レトリバーだから…。」


「レトリバー?」



「あっ…!何でもないです…!」


無意識に言葉を発していたことに気づき、急いで訂正したけど、レオ先パイにそれは通用しなかった。



「レトリバーって、

 ラブラドールとかゴールデンとかの犬のこと?」


「何でもないですから…!」



「俺はレトリバーって、

 兎羽には俺が犬に見えてるの?」


「そういう訳では…。」



「俺としては兎羽を自分のものにしたいけど、

 兎羽が飼い主になってくれるなら

 犬になるのも悪くないかな。」


呟くように言ったレオ先パイは、再び歩き始めた。





「そういえば。

 今更だけど、兎羽って好きな人いたりする?」


「いないですよ…?」



「じゃあ俺のこと好きになってね。

 まぁ好きな人いるって言われても

 諦めるつもりは全くなかったけどさ。

 兎羽に大好きになってもらえるように頑張るから。」


「……。」



何て返事をしていいのかわからず、黙ってしまった。








本気なのか冗談なのか。




恋愛経験のない私には判断がつかなかった。