「やっと片付け終わったぁ〜!」


「お疲れ様〜。」


閉会式も無事に終わり、体育祭仕様だった校内も完全にいつも通りに戻った。



あとは着替えて凛ちゃんと帰るだけだ!
と思ってたのに。



着替えてから待ち合わせをした玄関に向かうと、レオ先パイ以外誰もいなかった。


「兎羽、お疲れ様。」


明らかに私を待っていた様子のレオ先パイ。


「あの、凛ちゃんは…?」


「リンなら帰らせたよ。

 LINK来てるでしょ?」


その言葉に慌ててスマホの電源をつけると、確かに凛ちゃんから

"先に帰るね♡♡♡"とメッセージが送られてきていた。




「安心してね。

 兎羽のこと、ちゃんとマンションの前まで送るから。」


「えっ?ひ、1人で帰れますよ…!」



「俺が兎羽を送りたいの。

 ほら、行こうか。」


優しく甘い笑顔を向けられ、断ることができなかった。





駅へと歩き始めると、レオ先パイが口を開いた。


「兎羽って俺よりユートのが好き?

 あれ、結構ショックだったんだけど。」



「あー…。」



レオ先パイの言う"あれ"が指す内容を思い浮かべて、つい苦笑いしてしまった。




あれ、とは障害物リレーの最後の借り物のことだ。



私が引いたのは"かっこいい人"。



借り物なのに物ではない人がお題ってアリなの!?と半ギレしながらユート先パイを連れてゴールしたんだ。



このお題ではきっと誰もがレオ先パイを選んで連れて行くだろうけど、私はそうしなかった。



だってレオ先パイは私からしたら大型犬のレトリバーって感じで、かっこいいとは少し違うと思ったんだもん…。



不良っぽく見えるところを除けばユート先パイはすごく内面も外見もかっこいいから、私がユート先パイを選ぶのはおかしくない、はず。




「かっこいい人、ならレオ先パイより

 ユート先パイの方が合うかなって思いました。」



「俺はかっこよくない?」


わざわざ私の前方に立ち止まって、顔を近づけてから首を傾げるレオ先パイ。



美しすぎる顔が急に視界のほとんどを支配してきた衝撃で、つい本音がこぼれてしまった。