「はい、お土産。

 ま、ただ山行っただけだし

 先パイ達も行ったことあるわけだから

 面白くないだろうけど。」


会話のキャッチボールの合間を上手く通って言葉を発するカレンちゃん。


「「おみやげ?」」


仲良しな副会長2人がハモる。



林間でカレンちゃんと選んで割勘して購入したクッキー。


カレンちゃんには『こんなの包装だけ変えてどこにでも売ってるわ。』って言われたけど、お世話になってるしこれからもなる訳だから買ってきた。



一時停止していた副会長組が急に立ち上がってこちらに寄ってきた。


「凛いちご味取〜ったっ!」


「オレはチョコ〜♪」


ハイテンションにクッキーをひったくるように取り、定位置に戻っていく。



「…こういうのって、レオからじゃないの?」


相変わらず大きな独り言を零しながらプレーンのクッキーを取っていくリヒト先パイ。


え、取るの…!?


レオからじゃないって言うくらいだからレオ先パイの後から取ると思いましたが…?



「わざわざサンキュな。」


ユート先パイもナチュラルにチョコクッキーを取っていき、残るはレオ先パイ。


私達の分もあるから味は選べるようになっている。


「レオ先パイは何味がいいですか?」


「兎羽がいいな。」


「ふっ!…ざけないでお願いします。」


危ない。また叫ぶ所だった。



さすがに生徒会室での認識が叫んでる人ってなるのは嫌だ…!



「ふざけてなんかないんだけどな。

 …どれでもいいよ。」


「じゃ、アタシチョコとプレーンで。」


最後の1枚のチョコ味とプレーン味を取っていくカレンちゃん。



お土産なんだから先パイの選択肢減らしちゃダメじゃない…?


まぁでもどれでもいいならいいのか…?


残ったのはいちご2枚とプレーン1枚。


カレンちゃんが2枚持っていったからわかるかもだけど、私も残ったクッキー2枚を回収することになっている。



「いちご2枚は嫌なのでいちごでもいいですか?」


「いいよ。」


にこにこと美しい笑みを向けてくるレオ先パイ。
 

私はいちごクッキーを1枚取り、生徒会室の奥に向かう。


「どうぞ。」


手渡そうとするのに、受け取ってくれない。


なぜ!?




「あれがいいな。

 あーん、ってやつ。」


「はい!?」


「ほらは・や・く。」


あーん、と無防備に口を開けるレオ先パイ。



美しいイケメンがそんなことをしたら破壊力はやばいわけで。


「無理っ!」


ばん!っとクッキーをテーブルに叩きつけるように置いて自分の席に戻った。



…クッキー割れちゃったかな。


でも、あれは先パイが悪い。私悪くない。



「つれないなぁ。」



「やっぱレオの表情引き出せるトワちゃんやばいわ〜。」


「嬉しくありません。」




「…カレン帰る。トワ、箱よろしく。」


「え、あ、うん。」



自由過ぎる生徒会は今日もある意味平和な1日でした。