「トワ!
待ってたのにスルーはねぇだろ。」
「え?」
振り返るとユート先パイが。
なんで?
さっきまでいなかったよね??
「どこにいたんですか?」
「ふつーに校門にいたじゃねーか。」
「え…?
でも校門は女の人がたくさん…」
「あー、それはあれだろ。ほら。」
そう言って後ろを指差すユート先パイ。
指差す方を見ると先程のファンタムグレーの群れがユート先パイの少し後ろをくっつくように移動していた。
え…?
「先パイ、女の人を後ろに連れて歩く趣味があるんですか…?」
「あほか。オレじゃねぇよ。
なんで女がわざわざオレについて回るんだよ。」
「…邪魔って何回言えばわかるのかな?
君達の家を潰せば満足?」
…ん?
なんか物騒なことが聞こえた気が…。
「どうしてですか!?
わたくしはレオ様の為に幼少の頃から全てを
完璧にやれるよう努力してきたのですよ…!
ご存知でしょう!?」
女の人の叫び声が道路に響き渡る。
この固まりの中心、もしかしてもしかしなくてもレオ先パイ…?
そういえば凛ちゃんがレオ先パイはモテる、的なこと言ってたような…。
「ユート先パイ。」
「ん?」
「後ろで女子生徒に囲まれてるのって
レオ先パイですよね。」
「そーだな。」
「レオ先パイってあの群衆を無理矢理抜け出して
私のとこに来ちゃったりしますかね?」
そんなのは思い上がりだ!と言ってくれればいいのに。
自意識過剰なだけならその方が何千倍もいいのに。
「ぜってー来るだろ。
今だって珍しく強い口調で威嚇してるしな。
普段のアイツならテキトーに返事するか
ガンスルーするかの2択だ。」
絶対に来る。
そうわかっていて逃げないバカはいない。
だってこのままレオ先パイがやって来たらあの群れに呪いをかけられそう。
凛ちゃんや他の先パイ方が言うようにレオ先パイが無感情人間と呼ばれるような人だったなら私に笑いかけた時点でアウトなのはわかりきっている。
「お疲れ様です!」
そう叫んで私は全力で地下鉄の駅まで走ったのだった。