「ふぅ…。」


1人になれたのがずいぶん久しぶりのような感覚になった。


いつかテレビで見た"パーソナルスペースに入られると不快になるから適度な距離を取らないといけない"って事がすごくよくわかった。


親友とか家族とかならともかく、知り合い程度の人に抱きつかれたりされると精神的に疲れるんだな…。



玄関までとろとろと歩いて靴を履き替える。




そして玄関を出ると…。


なんだこれ。


校門辺りにファンタムグレーの群れがあった。



よく見なくても髪が長い人が多いしスカートを履いてるしで女性なことはわかる。




「ま、関係ないか。」


わざわざ口に出してからミルクチョコレート色のスクールバッグを肩にかけ直す。


群れの方をじっと見て校門を通ると何かいちゃもんをつけられそうだと思って、真っ直ぐ前を見ながら足早に校門を出た。