「って、感想言ってないでやめさせてくれませんか!?」
他ごとという名のお仕事をしていたせいでやっと頭が追いついた。
勝手に異性に後ろからハグするなんておかしいよね!?
無理矢理後ろを向いてレオ先パイの腕を引き剥がした。
「どうしてやめさせる必要があるの?
兎羽は潔癖さんだったりする?」
「潔癖ではないですけど
よく知りもしない異性に抱きつかれても
放っておけるほどアホじゃないです。」
キッと語尾を強くして言い放ってからペンを再び手に取る。
『ピンポンパンポン…。
まもなく下校時刻になります。
延長届を出してない生徒はすみやかに帰宅しましょう。』
もう下校時刻かぁ。
残念。まだ全然やれるのになぁ…。
手に取ったペンを中央にあるペン立てにさしてノートをロッカーにしまう。
「お先に。」
リヒト先パイが迅速に片付けをして去って行った。
早。
さっきまで雑談してたとは思えないよ。
「トワばっか仕事させてわりぃな。
でももーちょいテキトーに、
のんびりでいいからな。」
「あ、はい。」
「兎羽はできる子だから。
できない子のユートとは違うから。」
「…1回死ぬか?」
「ユートが俺を殺せるわけないよね。」
フッと鼻で笑うレオ先パイ。
完璧人間さまは運動神経もいいのかな?
それとも不良感漂うユート先パイが実は運動音痴とか…?
「はぁ…。
どうして兎羽はこんなにかわいいの?
考え事すると斜め上に目線がいく所とかたまんない。」
「レオ。それ確実にアウトな発言だから。
目線にたまんねーもくそもねーから。」
「でも兎羽がやるとすっごくかわいい。
世の中の女子が上目遣いを武器にするのも納得だ。」
「…変なこと言ってないで帰りますよ!?
片付けしてください!」
うんうん、と満足げな顔をしていたレオ先パイに半ば怒鳴って片付けを促す。



