生徒会室に戻ってレオ先パイの定位置である奥の長机に向かう。
レオ先パイはパソコンを使っていて私が来たことに気づいていないみたい。
「レオ先パイ。」
肩を優しく叩きながら声をかける。
ぴくっと反応してからいつもの優しい笑顔を見せてくれるレオ先パイ。
「兎羽って気配消すの得意だったりする?」
「いえ…。至って普通だと思います。」
「そっか。…それでどうかしたの?
兎羽から話しかけてくれるなんて嬉しいな。」
「あ、そ、そうですか。
あの、勉強を教えてくれませんか…?」
じっと目を見て言う。
まぁ私としてはOKをもらっても断られてもどっちでもいいんだけど、一応失礼のないようにしておかないと。
数秒間見つめ合ったあと、レオ先パイがふっと笑った。
「凛の入れ知恵でしょ?
兎羽はいいの?」
「まぁ…。騒がしくなければ。」
「兎羽からのお願いじゃなかったら一蹴してる所だけど…。」
私の頬にレオ先パイの手が触れる。
でもそれは一瞬のことで。
すぐに手が離れ、優しい眼差しが凛ちゃん達の方へ冷たく変化しながら向けられる。
「リン。マサ。
次の土曜日13時から勉強会を開いてやる。
他の役員にも伝えておいて。」
「まじか。」
「ほら!やっぱとわ最強かもー!」
マサ先パイは唖然として、凛ちゃんはガッツポーズをしている。
頼んでおいてアレだけど、良かったのかな。
いくらレオ先パイが変な人でも、完璧人間と言われているくらいだからきっとテスト勉強も相当な時間をかけてやっているはずだ。
マサ先パイの学力は知らないけど、凛ちゃんは目標平均点の人だから絶対レベルが違ってレオ先パイからしたら無駄な時間になってしまう。
迷惑にならないかな。
「兎羽は優しいね。
心配してくれるんだ?」
「えっ?」
口に出てた…?
いやそんなことはない。
じゃあなんでレオ先パイは私が心配してるのがわかったの?
「混乱してる兎羽もかわいい。」
完璧人間は心を読む特殊能力も持ち合わせているのだろうか。
じっとレオ先パイを見ても、何もわからなかった。



