ある金曜日の放課後。
私はいつも通り生徒会室に行くと、生徒会室のドアに背を預けて立っているレオ先パイを見つけた。
「何してるんですか?」
誰かが鍵を取りに行ってるのかな?と思いつつ話しかけると、レオ先パイは顔をほころばせてこう言った。
「今日は生徒会はなし。放課後デートしよう。」
そしてレオ先パイに連れられて校門を出ると、そこにはいつぞやに乗せていただいた車が。
放課後デートって電車で移動して甘いスイーツとか食べに行くものじゃないの…?
車に乗る時点でおかしいことはわかったけれど、もしかしたらイブさんのカフェに行くのかもしれないから黙っておいた。
ま、そんな配慮は全くの無駄だったんだけど。
大きなデパートに着いたと思ったらレオ先パイはまっすぐに今私達がいるお店まで行き、私に服を渡してきた。
でもその服はいわゆるドレスと呼ばれるような高級感溢れる大人っぽいデザインのもので。
こんな高そうなもの着れませんと主張したら、「じゃあ俺が着せてあげるよ。」と言って一緒に更衣室に入ろうとしてきたレオ先パイにはハッキリ言って引いた。
私にこれを着せるためにわざとやったことだとわかっていたとしても。
結局レオ先パイの思惑通りにラベンダー色のドレスを身に着けて更衣室から出たところで冒頭に戻るのだ。
にこにこご機嫌のレオ先パイは流れるようにネックレスやシューズを揃えて購入してしまった。
止める隙もなかった…。
こういうところで完璧っぷりを発揮されると困ってしまう。
幸い値段はわからないままだけど、高いものだということはわかるから汚さないように気をつけなきゃ。
…って、なんで私はこんなドレスをプレゼントされてるんだろう??
そんな疑問と一緒に再度車に乗せられた。
着いた先は高級ホテル。
うん、嫌な予感しかしないです。
「レオ先パイ、今日はこれからどちらに…?」
「あれ、言ってなかったっけ。
パーティーだよ、パーティー。
父さんの代わりに俺が出なくちゃなんだよ。」
「へー、そうですか。
じゃあ私はいりませんよね。帰りますね。」
「兎羽の冗談っておもしろいね。
俺が帰らせてあげると思う?」
「……。」
真木財閥の一人息子であるレオ先パイと付き合ったからにはそういうこともあるとは思ってた。
あるとは思ってたけど、心の準備くらいさせてよ…。
「大丈夫。
兎羽は俺の隣にいてくれるだけでいいから。」
優しく微笑むレオ先パイの言葉を信じて、未知の世界に足を踏み入れたのだった。