唇を離して、兎羽に優しく言う。



「一緒に帰ろう?

 仕事はまた今度でいいから。」


ね?と念押しすると、弱々しくもはっきりと肯定が返ってくる。



ゆっくりと帰る準備を始めた兎羽を見て、俺も自分の席に戻って片付けを始める。




旅行前に終わらせようと思ってた仕事、まだ結構残ってるな…。


まぁどうにでもなるか。



今は、ううん、いつも俺の優先順位は兎羽が1番。




兎羽の帰る準備が終わったタイミングで、チョコが生徒会室に入ってきた。



そういえば職員室に行っていたんだっけ。



「チョコ、悪いが俺達はもう帰る。

 仕事は残してもいいから、早めに帰るように。」


「はい、わかりました。お疲れ様です。」


俺達のことなんて興味がない、とでもいう様子で席に座るチョコ。



周りに左右されない所は彼女の長所だ。




「お疲れ。」


「お疲れ、様です…。」



俺は兎羽と共に生徒会室を出たのだった。