俺は感情がない自分をしっかりと受け入れていた。
楽しそうに笑う周りの人や涙をこらえる姿を見ても、感情が欲しいとは思わなかった。
俺と同じで感情を持たない諒さんは自分達のことを欠陥品だと言うけれど。
むしろ感情という不必要なものがない俺達こそが完成品であり、普通の人間が欠陥品だと思っていた。
相手への情や、根拠のない恐怖を感じて間違った判断をする奴らの意味がわからなかった。
事実だけを見極めて、最善を尽くせばいいのに。
気持ちなんて、その場で適当に飾った言葉を使えば伝えられる。
俺には、感情はいらない。
将来真木財閥を統べる者としても、そう思っていた。