俺の、俺だけのかわいいかわいい兎羽。
黒いつやつやの綺麗な髪に、控えめな優しい表情。
彼女を見た瞬間に感じられた自分の胸から湧き上がる衝動が信じられなかった。
"彼女が欲しい"
声を聞きたい。
触れたい。
俺だけのものにして、彼女の全てを感じたい。
遠目で見ただけなのに、溢れてくる得体の知れないもの。
これが…、感情、なのか…?
これが、欲というものなのか…?
何も感じられない世界に生まれ落ちたはずだったのに。
17年間、一度も心を揺さぶられることなんてなかったのに。
気のせいだと思いたかった。
ただの勘違いであってほしかった。