「兎羽、俺がひどい男でごめんね。」
大好きな人の声が聞こえたと思ったら、唇に柔らかく温かいものが触れた。
涙のせいで、よく見えない。
何が起こってるのか、わからない。
ちゅっと音を立てて離れたそれ。
「やっぱり俺、忘れられないよ。
兎羽が大好きで大好きでたまらない。」
「な…んで……。」
混乱してぐちゃぐちゃになった頭で、少しずつ今の状況を理解していく。
理解していくと同時に、新たな疑問が生まれて、頭の整理が全然つかない。
「ねぇ兎羽。兎羽は俺のこと好き?」
私は、レオ先パイのこと…、好き。大好き。
温かい安心する声が放つ質問の答えが、すんなりと脳内に出てくる。
…私は気づいてなかった。
ぼんやりとした視界で、しっかりとレオ先パイの瞳を見続けていたことに。
「兎羽、俺のものになって。
もう絶対に離さないから。」
「でも…。」
「無理だよ。同じ後悔はしたくない。」
そう言ったレオ先パイは、私の涙を指で拭ったあと、もう一度私にキスを落としてきた―――。