カタンッ…。


レオ先パイが座っていた椅子が音を立てる。



いつもならユート先パイがいる位置に、レオ先パイが立ち止まった。


すっとレオ先パイの綺麗な指が私の頬に伸びてくる。



「なんで泣くの?」


優しい優しいレオ先パイの声が、鼓膜を揺らす。



レオ先パイの隣に居続けられる自信がないからと。


能力、外見、家柄…、全てを兼ね揃えた完璧な人の隣にいたら、自分が惨めに感じられそうだと。



自分のことしか考えてない理由でレオ先パイを振ったのに。




完璧な理想を具現化した存在の隣にはふさわしくないって。


わかってる。わかってる。


わかってるの、それは……。





だから、だからこそ、私はこの道を選ぶしかなかった。



それが私の為であり、レオ先パイの為なんだ。





…そんなの、わかってる…!