「終わりましたよ。」
古坂さんの声で、はっとした。
気づいたら見慣れた制服に戻っていた。
「ありがとう、ございました…。」
「いえ、玲旺様の為ですから。」
綺麗な人は少し怖く見える。
それが実証されるかのように、古坂さんの瞳は鋭く感じた。
私が更衣室から出ると、古坂さんは浴衣等を持って斜め後ろをついてきた。
「兎羽、お疲れ様。」
「レオ、先パイ…。」
すぐ近くで待っていてくれたレオ先パイがにこりと微笑んで迎えてくれる。
「凪、下がれ。俺は兎羽と帰るから。」
「はい、かしこまりました。」
「着付け、さすがだった。
これからも頼むな。」
「ありがたきお言葉。」
無表情になったレオ先パイと柔らかく微笑む古坂さんが話す言葉は、はっきりと上下関係がわかるものだった。
それでも、美しいレオ先パイと綺麗な古坂さんが向かい合うと、すごく絵になった。
美男美女のカップルだと言われても、何も違和感がなかった。
私がレオ先パイと一緒にいても、お似合いだとは思われないんだろうな…。