「兎羽ぴょん!兎羽ぴょんだよね!」



この声は…。


声がする方を見ると、舜くんが大きく手を振っていた。



4人席に1人だけで座る贅沢な場所の使い方をしている舜くんに近づく。



「兎羽ぴょんすごい綺麗。

 浴衣似合ってる!」


「ありがとう。

 舜くんもおしゃれな格好だね。」



「ダンス部の衣装なんだよ。

 女子メンバーが好き勝手選ぶから

 僕には選択肢なかったけどね。」


優しく笑う舜くんは、白いTシャツに鮮やかなオレンジの半袖パーカーを羽織っていた。



目尻がほんのりオレンジ色になっているから、メイクもしてるのだとわかる。


ステージに上がる男の人はメイクをするものなんだなぁ。




「兎羽ぴょん1人なの?昼ごはん?」


「1人ではないんだけど…。」



「兎羽、お待たせ。」


「わぉ。こんにちは、生徒会長先輩。」



「はじめまして、大矢舜くん。

 俺の兎羽と仲良くしてくれてありがとう。」



「…私はレオ先パイのじゃないし。」




「名前覚えてくれてるんですね!

 あ、ここ座ります?

 僕まだ食べてますけど、相席でよければ。」


「じゃあ遠慮なく。

 兎羽、こっち来て。」


私がぼそっとつぶやいた否定の言葉は華麗にスルーされ、舜くんの向かいの席に座らされた。



レオ先パイは焼きそばにミニピザ、フライドポテトと、屋台で売っているごはんもの全てをテーブルに広げていた。



割とすぐ戻ってきたのに、ごはんもの全てを買ってくるレオ先パイって…。


また職権乱用してきたのだろうか。




「半分こしようね。

 食べれないのあったら俺が食べるから。」


「は、はい。」


舜くんが見てるのにいつも通りのレオ先パイ。



恥ずかしくてたまらないのは、きっと私が正常な証拠。


私まで頭のネジが外れちゃったらすごいことになりそうだ。