「ふふっ。

 俺が浴衣の兎羽を見たかっただけなのに。

 これはいい誤算だ。」


ぎゅっと繋ぐ手に力を込めたレオ先パイ。



目を見れば大体の感情が読み取れるというレオ先パイには、私の気持ちなんてバレバレだったようだ。




「じゃあ行こうか。」


「えっ?このまま?」



「そうだよ。

 俺がこれを着て歩けば宣伝になるからね。」


「なるほど…?」



「みんな俺に衣装を着せようと必死だったよ。

 うさぎ柄の浴衣なんて見つからないと思って言ったのに、

 見つけてきちゃうし。」


「うさぎ柄?」


着ている浴衣を見ると、確かに小さな雪うさぎのようなうさぎがデザインされていた。



お花のデザインの方が大きいから気づかなかった…。




「兎羽の名前、とっても綺麗だから。」


「ありがとうございます…?」



「ん。じゃあ今度こそ行こうか。」


「はい。」





私は甘い甘い声と優しい手に従ってレオ先パイの教室から出たのだった。